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保証の効力はいつ発生するか

A社に対する1,000万円の信用保証書の交付を受けたが、保証契約の具体的内容が明示されているのだから交付のとき保証契約は効力が発生しているのか。もしそうでなければいつ効力が発生するのか。

保証契約の効力は貸付(割引)実行したときに生ずる。保証契約の効力については、保証債務の付従性の理論から主たる債務の発生、すなわち貸付が実行されたときに発生する(約定書例2条)。

貸付実行により保証契約の効力が発生
信用保証書の交付により保証契約は成立し、貸付実行により効力は発生する。

(1)保証契約の成立と効力発生
約定書例では、信用保証協会が保証決定(承諾)後において、当該保証債務が発生しだかどうかにより、保証契約の成立(約定書例1条)と効力の発生(同2条)とを区別している。すなわち、信用保証協会と金融機関との間で約定書を締結し、個々の保証取引に共通する事項・手続等保証取引に関する基本的事項を包括的に定めているが、これによって個々の保証委託申込に対する保証契約が当然に成立したことにはならない。つまり、個々の案件毎に保証契約内容を決定し、これを表示した信用保証書を金融機関に交付することにより保証契約を成立させることとしている。一方、保証契約の効力は金融機関が貸付を行ったときに生ずる(約定書例2条)。つまり、主たる債務の発生時期。すなわち保証債務の成立時期をもって効力が生ずることとなる。

(2)効力が発生する前提
保証委託申込事務が完了したからといって、信用保証協会の保証決定状況を十分確認しないまま貸付実行しても保証契約の効力は当然生じない。実務上、信用保証協会に対し保証承諾の確認が粗漏のため、あるいは保証委託申込からの日時を見積って貸付実行したため、結果として保証日前め貸付実行となった場合は、保証契約成立前のいわゆる事前貸出によって無効となる。また、保証契約成立後であっても、信用保証書の有効期間である30日(特別な事情がある場合には60日)(約定書例2条)を経過した場合の貸付実行は無効となり、いずれも保証債務が有効に成立せず、保証協会とは無関係のプロパー貸付となるから注意を要する。

信用保証書にはどんなことが記載されているか

A社から金額1,000万円、期間3年の運転資金の借入申込があり、信用保証協会に保証申込を行ったが、金融機関に交付される信用保証書にはどのようなことが記載されているか。

信用保証書には、保証契約内容の基本的な事項が表示されている。具体的には、保証金額、債務者(借入申込人)、資金使途、貸付形式、返済方法、保証人、担保等が明示され、これらの内容が保証契約の内容となる。  

保証契約の内容を表示
(1)信用保証書の性格
信用保証制度は、信用保証協会と金融機関との保証取引の基本的事項について定めた約定書を前提として個々の具体的な保証契約を成立させることとしている。すなわち、約定書の締結だけでは保証契約は成立せず、個々め保証取引のつど金融機関に対し保証契約の内容を表示した「信用保証書」を交付し、保証契約を成立させている(約定書例1条)。つまり、保証契約を成立させるための書類が信用保証書である。

(2)保証契約内容の明示
信用保証書の交付によって成立する保証契約の内容は、金融機関としても、保証協会としても、相互に明瞭に確認しうるものでなければならない。とはいいながら大量なものを迅速に処理するためには、保証契約内容の基本的事項について網羅的に一定の様式に表示する必要がある。これらの事項を1つのフォームに明示した書類が信用保証書である。金融機関は貸出を実行することにより、信用保証協会に対して、保証契約の内容と一致した保証債務を発生させなければならない。そのためには、保証契約内容の基本的事項たる信用保証書上に、次の記載項目を契約条件とした貸出の実行を要する。

①保証金額 信用保証申込に対する保証決定(承諾)額が表示される。したがって、保証申込金額に対して減額される場合がある。

②保証期間 保証期間に適合した貸付を行うことが必要。

③資金使途 運転資金、設備資金、運転・設備資金等の別区分となるが、設備資金を運転資金に流用されることのないよう注意する。

④貸付形式

⑤返済方法 資金使途等により分割(据置期間)、一括の区別がある。

⑥貸付利率

⑦担保 金融機関設定の保証条件担保である。保証協会設定の場合は保証書に表示しない。

⑧連帯保証人 保証協会は、保証委託契約上の求償保証人を保証書上に連帯保証人として表示し、同一人を金融機関の徴求する債権書類上に連帯保証人として徴求させることを保証条件とする場合がある。

信用保証協会は担保価格を前提とした審査を行うのか

信用保証協会は担保価格を前提とした審査をし、保証するのか。

担保価格を前提とした保証は行われていない。あくまでも人的信用の発掘が主体一般に、金融機関の審査では、企業の将来性とともに、返済金の支払い能力、とりわけその担保能力に重点がおかれており、リスクを主体とし、企業利益を前提とした信用調査であるのに対し、信用保証協会の信用調査は公共機関としての性格から、中小企業のもつ企業信用力をいかに最大限に発掘するかが課題であり、物的担保の評価についても、この信用発掘の補足的側面として位置づけられている。

(1)信用保証協会の調査ポイント
もとより、信用保証協会の調査ポイントは、
①企業経歴
②資金使途の妥当性
③企業実情の把握
④企業発展体質り抽出
⑤返済財源

等、あくまでも人的信用の発掘を主体とし、保証ベースにのりうるかどうかを導き出すものである。したがって、いかに担保の評価価格が十分といえども、物的担保のみをもって保証を行うというわけではない。そのため、一般金融機関で取扱う担保価格の基準内であれば可とするフリーローンのような保証は行われていない。以上にもかかわらず、当然のことながら、十分な物的担保の提供はそれ自体、経営力、資金調達能力等を示唆するものであるから、保証決定め重要な要素となる。反面、担保力不足であっても、企業能力によりこれを補える場合は保証を受けることができる。

(2)信用保証協会の担保評価
このように、信用保証協会の立場からは、担保価格を前提とした審査は行われていないが、評価にあたっては、公示地価、基準地価、近隣取引事例等から導き出した時価が有力な決め手となる。なお、信用保証協会では、その公的な立場から、
①建築基準法等に違反する建築物
②地上に不法建築物のある土地
③脱法による造成地

等は、価格のいかんを問わず原則として担保徴求しないことから、注意を要する。

物的担保を保証条件とする場合、 (根)抵当権者は信用保証協会か

物的担保を保証条件とする場合は、(根)抵当権の設定権利者は必ず信用保証協会がなるのか。

信用保証協会が(根)抵当権設定権利者として直接担保を徴求し、担保権の管理を行う場合と、金融機関が(根)抵当権設定権利者として登記した担保を保証条件の担保とし、金融機関の責任において担保権の管理を行う場合がある。

信用保証協会が権利者・金融機関が権利者の2通りがある
原則として、信用保険の無担保保険限度を超える保証については、物的担保の提供を要する。信用保証協会が権利者となる場合は、債務者とめ保証委託取引を被担保債権として(根)抵当権を設定し、その登記が完了したのち、信用保証書を発行する。このように、信用保証協会が権利者となる場合は、自己の債務者に対する将来求償権を直接担保するため物的担保を徴求することとなる。一方、金融機関と債務者との取引実態に合わせ、金融機関が権利者として設定した(根)抵当権を保証条件の担保とすることも認めている。

以上のいずれの方法によるかは、信用保証申込の際の債務者の希望や金融機関の意見を基にして信用保証協会が審査のうえ決定し、金融機関設定の場合は、信用保証書の保証条件にしたがい取扱うこととなる。協会設定の場合は、中小企業育成振興の目的から(根)抵当権の登録免許税が租税特別措置法により軽減(設定金額の1,000分の4を軽減。なお、(平成23年5月)では1,000分の1であるが、今後1,000分の1.5になる見込み)されており、金融機関の担保管理上の負担もない等、利点もあるので保証申込のときは、これらの点を考慮のうえ、いずれかの方法で決定している。なお、金融機関設定の場合には次のようなケースが主な原因となる。

①すでに貸付金融機関に根抵当権が設定されており、これを保証付貸付の担保として流用する場合

②金融機関と債務者との取引関係が密接であり、以後の与信に際しても金融機関で担保権を管理するほうが適当である場合

③担保物件所在地が信用保証協会の管轄区域外等で、協会の担保権管理が困難な場合

④金融機関が保証付貸付実行後に(根)抵当権の登記を行う必要がある場合。例えば、設備資金の貸付であって、融資対象物件を完成担保として徴求する場合(持込担保となる場合で、金融機関でないと担保条件の管理がフォローできないような場合)など

プロパー貸付後の無担保無保証人保証は受けられるか

商品仕入資金として200万円の借入申出があった。ただし、すでに根抵当権1,000万円を設定(社長個人の連帯保証付)のうえ、金融機関から同額惜入を行っており、担保余力はまったくない。信用保証協会の「無担保無保証人保証」が利用できるか。

「無担保無保証人保証」とは、信用保証協会に対する保証委託のための条件を言っており、金融機関が独自に徴求した担保や保証人およびプロパーの既存債権があっても、信用保証協会が定める「無担保無保証人保証」についての資格要件が備わっていれば、保証を受けることができる。したがって、自行あるいは他の金融機関を通して無担保無保証人保証を制度いっぱい利用していなければ利用可能である。なお、「無担保無保証人保証」の限度額は、中小企業信用保険法では一中小企業当り1,250万円とされている。

無担保無保証人保証は小規模企業者に限定
「無担保無保証人保証」とは、同じ中小企業者のなかでも、特に物的、人的に担保力の乏しい小零細企業者のために制定された保証であり、中小企業信用保険法に定める「特別小口保険」の規定により運用されている。したがって「無担保無保証人保証」を利用しようとする者は、「特別小口保険」により定められた特定の資格要件を備えていなければならない。まず対象者は「小規模企業者」に限定されている。「小規模企業者」とは常時使用する従業員の数が20人(商業またはサービス業を主たる事業とする事業者の場合は5人)以下のもので、信用保証の指定対象業種を行っている者である。

次に、同一都道府県の区域内において、同一の業種に属する事業を、保証委託申込の日以前1年以上引続いて行っていることが必要である。なお、同一業種の判定、および指定対象業種であるかどうかの判定は、一般の保証申込と同大基準で判断される。そのほか所得税、事業税または都道府県民税もしくは市町村民税の所得割のいずれかの税金について保証委託申込の日以前1年間に納税すべき税額がある場合であって、当該税額を完納している者でなければならない。また、保証限度は中小企業信用保険法により一小規模企業者当り1,250万円と定められているので、この限度を超えることはできない。なお、既に保証人付きあるいは担保付きで信用保証協会の保証を受けている場合、既存の保証残高と今回の保証申込額を合わせて1,250万円以下となる場合であっても、無担保無保証人保証(特別小口保険)を利用することはできない。

以上、小規模企業者であって事業の継続要件および納税要件を充足している場合は、物的担保、個人保証いずれの担保も提供せずにい保証を受けることができることとなっている。よって、金融機関が別途独自に物的担保や保証人を徴求して融資していたとしても、信用保証協会で「無担保無保証人保証上以外の保証利用がなく、既存の保証利用残高と今回の保証申込額が合わせて1,250万円以下であれば、その限度まで寸無担保無保証人保証」を受けて借入を行うことは可能である。

融資斡旋の場合、資格を確認する義務はあるか

公害防止設備資金を、保証付の県の制度融資利用により保証申込を行った中小企業者について、信用保証協会から融資斡旋の通知があった。金融機関として、申込人の資格等につき、どの程度の確認が必要か。

融資斡旋に際しては、信用保証協会でひととおりの調査、審査が行われているので、信用保証協会で通常チェックできる資格要件については、改めて金融機関で確認する必要はない。ただし、当該中小企業者が銀行取引停止処分(第1回目の不渡報告を含む)を受けているかどうか、またプロパー融資等の既存債権について、延滞その他の債務不履行があるか否かについては、信用保証協会側では不明な場合がほとんどなので、その確認については金融機関が負うこととされている。

銀行取引停止処分を受けている者に注意
信用保証の申込については、申込者の資格要件について企業規模、業種、許認可事項等の確認が必要であり、申込者が信用保証協会に直接申込む融資斡旋の場合には、金融機関に斡旋する前に信用保証協会が独自に調査、審査を行うことになっている。この過程で資格要件はひととおりチェックされ、資格要件に該当しない者は除外されるが、申込者が金融機関取引において「銀行取引停止処分(第1回目の不渡報告を含む)」を受けているかどうかについては、信用保証協会側ではほとんどの場合不明なので、融資の諾否決定の前に金融機関が特に注意して確認しなければならない。金融機関としては、取引停止処分中の先に対する貸出は当然行わないのが通常であり、協会保証付きの斡旋融資といえども例外ではない。

なお、法人の代表者個人が取引停止処分(第1回目の不渡報告を含む)を受けている場合は、当該法人も原則として保証を受けられないこととなっているので注意が必要である。また、たとえ斡旋融資であっても、信用保証協会が調査を行った時点以降斡旋されるまでの間に、業況の変化等により信用保証協会が察知しえないような事態が生じている場合(例えば既存の貸付債権(特に金融機関プロパー貸出や、協会保証付貸出)について、延滞その他の債務不履行等)は、融資諾否を決定する前に、その旨信用保証協会に通知し協議を行う必要がある。以上、いずれも金融機関の善管注意義務として理解すべきであり、万一金融機関側での確認が粗漏になり、このような先に融資を行って事故となった場合、代位弁済を受けることができなくなることも考えられるので、十分に注意が必要である。

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