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信用状開設に保証の利用はできるか

甲銀行は輸入業者であるA社より、信用状の開設をしてほしい旨申出を受けた。ほかに適当な保証がないので信用保証協会の信用保証を受けられれば取扱いたいと思うがどうしたらよいか。

信用保証協会の保証は貸金に対する保証であるため、たんに信用状を開設することを銀行が銀行の与信(保証)でする場合の保証に対しては、信用保証協会の保証は対象とならない。しかし、信用状開設が定期預金を担保として開く場合、当該金融機関に定期預金相当額を貸出させ、その貸付金に信用保証協会が保証することであるならば取扱いは可能である。

債務者の希望で預金拘束
(1)信用保証協会の業務
信用保証協会法20条では信用保証協会の業務を、次のように定めている。
①中小企業者等が銀行その他の金融機関から資金の貸付、手形の割引を受けること等により金融機関に対して負担する債務の保証(1号業務)。
②中小企業者等の債務を銀行その他の金融機関が保証する場合における当該保証債務め保証(2号業務)
③銀行その他の金融機関が日本政策金融公庫の委託を受けて、中小企業者等に貸付を行った場合、当該金融機関が中小企業者等の当該借入による債務を保証することとなる場合におけるその保証をしたこととなる債務の保証(3号業務)。
④中小企業者が発行する社債(当該社債の発行が金融商品取引法(昭和23年法律第25号)2条3項に規定する有価証券の私募によるものに限り、社債、株式等の振替に関する法律(平成13年法律第75号)66条1号に規定する短期社債を除く)のうち銀行その他の金融機関が引き受けるものに係る債務の保証(4号業務)。

以上の4種類のうち、現在各地の信用保証協会が行っている保証業務は「1号業務」および「4号業務」のみであって「2号・3号」の保証の保証、すなわち副保証の業務は取扱っていない。金融機関では顧客の信用度に応じ、保証のみで信用状を開設する場合と、定期預金等を拘束して開設する場合とがある。信用保証協会としては、前者の保証は副保証として保証の対象外としているが、後者の方法については貸金に対する保証(1号業務)とし、その当該貸金を金融機関が全額預金拘束して、それを引当として信用状を開設するものである。

(2)預金拘束と自粛措置との関連
定期預金の拘束に関して、即時両建預金の自粛措置の対象に該当するものではないかと懸念されているが「信保付借入で輸入信用状開設と自粛措置」と題して、「信用保証付借入金で定期預金が作成されてもやむをえない。また、当該預金が信用状開設に伴う担保預金として形式上は即時両建預金ではあるが、当該預金の創設は金融機関の強制によるものでなく、まったく債務者が必要とし、その希望によるものであるから自粛の対象となる即時両建預金とはみられない」、と旧大蔵省は見解を示している(「銀行の営業推進」昭和53年6月号132頁参照)。また、最高裁も即時両建にならないことを明確にしている。したがって、事故となる場合は、銀行の外為与信は定期預金との相殺で損害はなくなり、信用保証協会の保証付で貸付した貸金が返済できなくなりた場合について生じる。

旧債振替を目的とした保証の利用はできるか

信用保証書の保証条件欄に「本貸出をもっで前保証〇〇〇号を完済のこと」と表示されている場合は、旧債振替禁止の約定と矛盾しないのか。旧債振替は絶対に禁止されているのではないか。

旧債振替は例外として認められる場合がある。
約定書例3条により、旧債振替は原則として禁止されている。しかしながら、上記のケースについては、同条但書に、いわゆる信用保証協会が承認した場合に該当し、旧債振替の禁止条項の例外となる。旧債振替の承認については、このように保証書上に具体的に記載されるか、別途この趣旨の承諾書を得たもののほかは認められない。

協会の承諾済のものに限る
信用保証協会が承諾したものを除き旧債振替は禁止されている。

(1)旧債振替の制限
約定書例3条は「金融機関は、信用保証協会の保証にかかる貸付をもって、金融機関の既存の債権に充てないものとする」として金融機関が保証付貸出をもって旧債の一部または全部の償還に充当することを禁止している。この趣旨は、信用保証協会の目的が、中小企業者の事業資金について信用補完を行うことであり、たんに金融機関の債権保全のためにのみ新しい貸付債権に信用保証協会の保証をつけて、既存の債権を消滅させることは制度の趣旨に反することになるからである。

(2)旧債振替の事例と禁止除外
既存の債権を信用保証協会保証付貸付で消滅させる事例の主なものは、次のとおりである。
①プロパー貸付1,000万円のうち800万円を新規保証付貸付で弁済させる
②既存の割引手形を保証付貸付をもって買戻しさせる
③不渡手形の買戻しができないので、保証付貸付の代り金で買戻しさせる
④つなぎ資金(代理貸付等)の弁済に充当することを条件に保証承諾をえて、保証付貸付でつなぎ資金を弁済する
⑤前保証の貸付金を弁済することを保証書上に記載をえて、新規保証付貸付で弁済する

以上の事例のうち①、②は、典型的な旧債振替の禁止事例にあたるが、債務者の業態が不安になった場合、単に、金融機関の債権保全の目的で既存債権を新たな保証付貸付に乗りかえるような事例の処理をすることはないと思われる。むしろ業態が不安な場合、金融機関のとった処理が、約定書例3条の旧債振替禁止の条項に該当するか否かの事実認定の問題を生じることがある。例えば、貸越利用中の当座勘定へ保証付貸付の代り金を入金し、いったん貸越残高を解消したのち、支払手形決済等のため前記保証付貸付金の融資相当額を使用して再び貸越が発生した場合などである。

この場合、外形的には旧債振替制限条項違反となるが、金融機関がもっぱら貸越金の回収意図をもって行い、入金後の貸越取引を継続していないような場合(貸越の中止・解約等)を除いては免責としない運用が行われている。また、③についていえば、資金使途を明示して保証承諾を受けるもめは旧債振替に該当しない。④、⑤は旧債振替の禁止の例外として「保証協会が特別の事情があると認め、金融機関に対し承諾書を交付したときは、この限りでない」(約定書例3条但書)に該当する。

(3)旧債振替禁止条項に抵触した場合
金融機関が故意または過失により旧債振替を行った場合、約定書例11条1号の免責事由に該当するものとして原則として当該違反部分のみについて免責となる。なお、違反の態様が信用保証制度の趣旨・目的に抵触するような場合は全部免責となる。

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